第44章 ホークス オリジン
「凛…言うな。分かってる…分かっていて止めている。確かにオレはピクシーボブに“合理的虚偽”と言った。けど、決してお前のことを裏切った訳じゃない…もう1度…オレを見ろ…その贋の恋心から目を覚まさせてやる」
その言葉に涙が溢れた。
相澤先生が手を伸ばして私の両頬を包む
背の高い相澤先生を見上げるように上を向けられてキスをされる。
「何度でも…言ってやる…オレを…オレだけを見ろ」
胸が締め付けられる
ホークスを見る時と同じ苦しさが私を襲う。
私はホークスが好きなのに…相澤先生の言葉に揺さぶられている
さっきまでホークスに可愛いと言われて上機嫌だった心が相澤先生にの言葉に塗り替えられそうになる
そう思った瞬間だった。
相澤先生が急に私を突き飛ばし、廊下に尻餅をついてしまう
「大丈夫か…凛…」
相澤先生が突き飛ばしたのに優しい声をかけてきて状況がわからなかった
壁を見れば突き刺さった紅の羽があって思わず青ざめた…
これは、ホークスからの警告だ
「私…ホークスが好きです…私は…身も心も…ホークスのモノです」
「凛!!」
その言葉を言うだけで精一杯だった。
溢してしまった涙は止められなくて…でも、誰にもその涙は止めてもらってはいけないモノだった。
ホークスの事が好きだ。
けど、それよりも前に私はきっと相澤先生の事を好きだったのかもしれない
けれど、それは結果論でしかなかった。
壁から羽を抜いてその羽を握り締める
「ごめんなさい…相澤先生…バカな生徒でごめんなさい…」
そう言うと相澤先生が私に声をかけてくる
「オレはお前を想っている…困った事があったらオレを頼れ…お前が選びお前が幸せならそれでいい、けど、お前が傷付くならオレは遠慮しない」
その言葉に小さく頷いて
私は自分の寮に戻った