第38章 38
机の上にあるスマホがブルブルと震える。
スマホを持ち立ち上がりバルコニーまで行き通話を開始させる。
『◯◯出版の本田ですー!』
「あ、昨日はどーも、お陰様でビルボード前にいい宣伝になりましたー」
『いえいえ!こちらこそ部数が楽しみです、ちなみに、昨日の子は彼女では?』
「高校生ですよ?…そんなわけ無いじゃないですか…本当に知り合いの子です」
『いやー!人気ヒーローのスキャンダルを独占できたら美味しいじゃないですか!しかも、今話題の雄英生なんて』
「調べたんですか?こわいなー。…でも、違うんで本当にやめてもらえます?」
『なら、彼女出来たら教えてくださいね』
「それよりも、雑誌の発行日教えて下さいよ。ね?」
『そうでした!…来月、9月上旬には発売出来そうですよ。ちなみに増刊扱いなので普段の発売日と違って上旬です』
「早いですね」
『反響が大きいうちに出さないとなんで…』
「また、何冊かくださいね」
『分かりました。では、電話切りますね。本当にありがとうございました』
「また…縁があったら」
そう言って電話を切った。
「(凛ちゃんの事調べたのか…とはいえ情報で言えばそこら辺のプロヒーローなんかより操作された物しか出てこないから大丈夫か
“雄英高校サポート課1年、無個性、父プロヒーロー、母サポート技術者(無個性)”
出てきたとしてもこんなものだよな…実際に調べてもこんな物だった…公安、雄英から出された資料で初めて知り得た事実ばかりだったし…とは言え全部じゃないみたいだけど)」
バルコニーの壁に寄りかかり座り考え込んでいると凛ちゃんがタオルケットにくるまりヨロヨロと寝室から出てきた。体が痛くてうまく歩けないのか笑えるくらい変な歩き方をしていた。オレを見れば幸せそうに笑う。
近づいてあげれば嬉しそうに抱きついて
「帰ってきた音聞こえたのにまた、窓開けるから…居なくなっちゃったかと思った」
「凛ちゃんに言わないでどこにも行かないよ?凛ちゃんが好きそうなの買ってきたから食べない?」