第35章 35
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昼間は船に乗ることが出来た場所は夜になると大人びた照明になり私達はその橋の場所に立たされた。ホークスがくれたカチューシャは外されてしまった。
「今日は楽しかったかな凛ちゃん」
「…最初は驚いたけど本当に楽しかった」
「途中カメラ忘れちゃったよね」
「うん。…私きっと後頭部とかだけだけど、ホークスファンのみんなが夢を見られるような写真になってると良いなって…」
「間違いなく良い写真になってると思うよ」
「だと良いな。あと、私も雑誌買うと思う…」
「そう言えば…このクマさ今日のお礼。デートで男が女の子に買ってあげるの定番なんだって…誰かさんはオレが人形コレクターって思ってた見たいだけど貰ってくれる?なんだっけ、オレだと思って可愛がってあげてだっけ?」
この人はどうしてこう私の心を掻き乱すんだろう。
私ばかりがこんな風な顔をさせられて、誰かの代わりで呼ばれたなんて分かっている。
彼は私に何にも思っていないなんて…それも理解してるよ。
けどね、私…それだけじゃ足りないよ。
どうせ仕事で近くに居てくれるなら少しでも私のことで心をみだしてよ…ホークス。
「ありがとう…すごい嬉しい」
「良かったー、凛ちゃんもクマ好きみたいで」
「…好き。好きだよホークス」
「知ってるよ、君がオレのファンって事」
「そうだけど、違う。」
「…そろそろ枚数撮れたと思うから、行こうか?」
そう言って行こうとするホークスの腕を掴んで引き止めてしまう。引き止めて何になるんだろう…段々と視界が歪んでくる…
「凛ちゃん…その話、家で聞くから良い子にしてて…今ヒーローだから」
振り向く事をしないホークスの言葉に私は手を離した。
泣くな。泣くな。
答えなんてわかり切っていたでしょそう思って
スカートを握り締めた