第34章 34
「クマが人気なの?」
「あげたい物選べば良いんじゃないですか?」
「勘違いされてそうで嫌だから言うけど“お礼”だからね?」
「分かってますよ」
「(絶対分かってない顔してるけど…)」
そんな会話をしながら、選んでいる姿を撮影されていた。クマを持ちあげてレジに持っていく。その隣にネコのカチューシャとパスケースがあり凛ちゃんがこれつけたら可愛いと思ってつい購入してしまった。
「今つけます?」
「つけないけど、タグ外しておいて貰えます?」
「わかりました」
そう答えると後ろでスタッフが笑う声が聞こえた。
会計が終わり剛翼が戻ってくる気配がして凛ちゃんが、戻ってきますよとスタッフに伝えて外にでる。
ふいに、剛翼から会話が聞こえた
“1人?”
“違います…”
“ホークス来てるの見た?”
「(なんで、この場所まできて女の子に声かけるかな…。まぁ、凛ちゃんに声をかけたことは可愛いから仕方ないし…まだ許すにしても、ナンパするのにオレの名前出したらダメでしょ…。)」
剛翼の位置まで歩いて迎えに行くと凛ちゃんがオレを見つけてさらに困った顔をしていた。
「(さっきのオレの態度気にしてるだろうな。)」
とは言え、この状況、後ろに居るスタッフは絶対楽しんでるだろうな…
「凛ちゃん、こっちにおいで」
そう呼べば安心した顔でこちらに走ってきて、声をかけた男は驚いた顔で慌てて逃げていった。