第34章 34
カシャっとカメラの乾いた音がする
「ホークスさん、今のもう一回お願いできますか?」
撮影だったんだと現実に戻ると少し寂しい気がした。ポップコーンをモグモグと食べているとホークスがケースをトントンとしたので見上げるとあーんと口を開けて来るその仕草が面白くて一粒口の中に入れてあげたホークスは嬉しそうに笑った
「うまか!」
「方言使うんだね」
「たまには使うよ…変だった?」
「なんか、可愛かった」
そう言うとホークスは嬉しそうにニコリと笑って次はあっちに行こうと歩き出した。
目の前にはホテルを模した絶叫マシンが有った。ホークスが乗ろうよと言ってスタッフに話しかけると並んでも良いと言われたので全員で並んだ。とは言えホークスは有名なヒーローなので乗る時は私達だけの貸し切りですと言われていた。
薄暗い建物の中を歩いていると色々な場所からホークスが手を振られていた。私はと言うと元々得意では無かった暗闇もあの日から少し恐怖を感じるようになってしまっていた、なので1人で怯えて歩いていた。
とある部屋に入る前に建物の説明や曰くを教えてもらい部屋に入ると途端に部屋が暗くなり驚いてホークスにしがみついてしまう。
ホークスはその姿をチラッと確認すると優しく笑い頭を撫でて大丈夫だよとヒーローの仕草をしてくれた。
その瞬間胸が締め付けられて顔が熱くなってドキドキと言う心臓の音が耳の奥を駆け巡った。その音がホークスに聞かれてませんようにと思い目を強く閉じた。
その後、最前列にホークスと一緒に座った。
スタッフさんはなぜか何列か開けて1番後ろの列にみんなで座っていた。いってらっしゃいと扉が閉まった瞬間にホークスが手をギュッと握ってきて思わずホークスを見てしまう。
「これで怖くないでしょ?」
その言葉で、本当に怖く無くなった気がした。
本当に気だけだった。上がるスピードや落ちるふわふわとした感覚にヒッ!と可愛くない悲鳴を上げてしまい握っている手をさらに強くにぎってしまった。