第30章 30
「やっぱり、オレのこと知ってたね凛ちゃん」
騙された、知ってること確認したかったんだ…私の名前も知ってる、今回の件も。
この男は何しに来たんだろうか
「あなたみたいな有名はヒーローが何のようですか?」
「“大人によって存在を消された子猫”がちゃんと生きてるか見てこいって」
「なんですかそれ…」
「さー…」
羽を一枚抜きくるくると回して眺めてそれを私に差し出す。
「あと、君がここに住んでる間ずっと監視するようにも仰せつけられたかな…これ、あげるね」
「“オレだと思って大切にして”ってヤツですか?」
「そんな感じ、あと」
フワッとホークスが近くによりお姫様抱っこのように抱きかかえられる。
「今日は親睦を兼ねて空の散歩でもいこうか?」
ふわりと浮く体、その瞬間にかかる重力恐怖を感じるよりも早く空の上にいた。
「わー!ホークス!!見てすごい綺麗」
「そうでしょ?」
「私、風になってるみたい!」
「あんまり興奮して落ちたりしないでね?」
「ホークス…さんは、いつもこんな景色見てるんですか?」
「今さら“さん”とか…ちょっと遅い…むしろ、敬う気持ちはあったんだって驚いてるよ」
「敬う気持ちばかりですよ。クラスの子と良くあなたの話してるので…雑誌出てたねとか、SNS更新されたとか」
「凛ちゃんはオレの事好きなんだ」
そう言うと、意地悪く笑うホークスが居た。その表情に胸がざわざわした。
生まれて初めて感じた感情だった。
胸がキュッとなって顔が熱くなる触れられてる部分が急に恥ずかしさを感じた。
ホークスの羽は飛びながらどこかに行っては戻って来たりしていた
「さ、洒落込んだお散歩そろそろ終わろうか?」
「…はい」
「寂しくなった?」
「そう言うわけじゃ」
「君が“ここ”で1人の時は毎晩くるから大丈夫だよ」
そう言われて、バルコニーに下される。ふわふわとした感覚に少し気持ち悪さを覚えたが、よろけた私を支えるように手が伸ばされて触れられるとまた胸がキューっとした。