第29章 29
「ハッ…勝手に来て何言ってんだ」
「あはは、確かに」
そう笑うと、勝己くんがそこに座れよと場所を指定してくれてクッションの上に腰を下ろした。近すぎない距離で勝己くんも座りお茶を注いでくれた。
「…lime、無視したでしょ?」
「知らね」
「私が返さないと怒るくせに」
「…大丈夫だったんかよ」
「…私がそれを聞いたの」
「大丈夫に決まっとるわ」
「良かった…」
そう言いお茶を飲み干して勝己くんを見つめる。寝不足なのか目の下には少しクマがあってオールマイトの事で疲れているんだと感じた。その中で少しだけでも私のことを考えていたのかな?なんて、口が裂けてもいえなかった。彼の目が悲しみで溢れていたから。
事実を隠しても彼は傷付くだけだそう思い本当の事を言う事にした。
コップにつく水滴を指で触りながら勝己くんに目は向けず
「私はねー、さっきまで病院に居て…敵にね?捕まって結構ひどいとこされちゃってね?…けど、怖くて生きたくて…個性を2人の人に使っちゃったんだ。犯されたって警察の人達は言ってたけどきっと犯されたには入らないと思うなーって!」
ヘラヘラと笑顔で簡単に伝えた。そうすると勝己くんは私の肩を掴み自分の方に顔を向けさせた