第27章 27
「…っ!イレイザー!!」
電話の向こうで声が聞こえてハッと意識を電話へと戻した。
「すみません…状況は?」
そう聞くと、塚内くんは声のトーンがさらに低くなり、モゴモゴと喋り始めた。
凛は、思った以上に酷い仕打ちを受けていた。スマホを持つ手とは反対の手で目を覆った。
今ここに凛がいたらどう扱って良いのか分からないくらいの内容に言葉が出てこなかった。
無事でさえ居れば、そう思っていた自分が憎かった。
「それと、君からの差し入れと気がついてるみたいで…“ この袋の中身くれた方にお礼を伝えておいてください”だそうだ…自分があんな被害にあっておきながら、すごい子だね…犯されたなんて思えないとか、クラスの子に説明をなんてしていたかとか……冷静すぎてこっちが怖くなったよ…正直」
「ですよね…ちなみにいつ、退院なんですか?」
「1週間って話だけど…」
「分かりました…ありがとうございます」
そう言って電話を切った。