第25章 25
「…神楽凛さんか?」
「はい。」
「すまない…このまま」
そう言って目立たない場所から外へ連れ出してくれ、制服では無い警察の人へ私を受け渡した。
「塚内殿…例の子です」
「良かった、無事で…。」
その表情が優しく暖かくて、今まで居た恐怖の世界から開放された事が事実なんだと安心をした。抱き抱えられる腕にグッと力が入ったかと思うといきなり走り出した。
「怪我人として安全な場所に君を連れて行くからッ!……エンデバー!怪我人です援護をッ」
「塚内!!なんだこの様は!!」
異形敵が溢れる中、塚内と呼ばれる警察官が私を抱き抱え走り。その後ろからエンデバーが近づいて来て異形敵を炎で制圧して行く。塚内さんの腕の隙間から見えるエンデバーの姿は、息子である焦凍とは似ていなかった。
警察車両へと私は押し込まれる。
「例の子だ病院へ」
「ま、まって!塚内さん…エッジショットにこれを返してッ」
そう言って包まれた布の中から先程渡されたマフラーを手渡す。それを受けとると塚内さんは車の扉を閉めてまた、エンデバーと共に走り始めた。運転席の人は猫の見た目をしていた。
扉の隅に蹲る私を横目で確認をするが、どう声を掛けていいのか分からないのか
気まずそうに車を出発させた。