第24章 24
「お名前なんて言うの?」
「神楽凛」
「みんなから、なんで呼ばれてるの?」
「凛って…」
「好きな食べ物は?」
「い、いちご」
「わー!好きな食べ物までかーいー!凛ちゃんは何年生?どの教科が好き?好きなタイプは?」
「…えっ…い、1年生です…すきな教科は…」
質問を沢山される中でこの目の前に居る女の子の異様さに気がついた。
私の呼吸のタイミング、瞬きの数、表情の動き、それを少しずつ真似をしてくる。気のせいなのかもしれないけど、目の前に居る女の子が少しずつ私に見えてくる。
「ねぇ…凛ちゃんは好きな人いる?」
その質問に、視線が泳いでしまった。
興味津々なその瞳は本心を映し出しそうなくらい綺麗な瞳だった。
死柄木もそうだ、敵はなぜこんなにも曇りのない目をしているんだろう。
答えに、躊躇していると女の子は話を始めた
「あのね、お茶子ちゃんは出久くんが好きなんだって!つゆちゃんは、教えてくれなかったなー…けどね、みんなすごくかーいーの!…好きな人が居ると頑張れるもんね!!…凛ちゃんのために彼もすっごく頑張ったんだよ」
「なんの…話ですか?」
「凛ちゃんの事が好きでー。彼女だったんだよね?…それで、“ヤッ”てたんだよね?そうじゃなきゃ、全てを捧げるなんて出来ないよね?…それとも、誰とでも出来る体質?…ああ、個性だっけ?ねぇ、凛ちゃん…彼の事覚えてる?雄英辞めた後どうしたのか知ってる?」
喋る口調が先ほどよりも早く抑揚が無くなり私の顔に女の子の顔が近くなる。
彼女が指す、彼が“あの時の先輩”なのではと不安になった。
雄英を退校になった後を聞かれても私は分からなかった。