第23章 23 ※死柄木
「気持ちいいのか?」
「うん…はぁ…ッ…あっ」
「さっきより声が高いな…顔もまたとろけてる」
「やっぁ…冷静に、見ないでよぉッ」
グイグイと腰を動かされ、じゅちゅ、じゅちゅっと卑猥な音がスピードを上げる。
時折、肌が打ち付け合う音がパチンと鳴り閉じていた目を開いて見てしまう。
綺麗な瞳に吸い込まれてしまいそうだ。もし、手が滑り崩壊されたとしても良いと思ってしまうくらい脳みそは快楽に支配されていた。
「死柄木の、気持ちいい…」
「凛…全員にいってそうだな」
「…はぁッ…言うよ…本当だもん…」
「お前、誰のものになるつもりだ?」
「…はぁ…ッ…気持ちいい…“今は” 死柄木のモノだよ?…だめ?」
「…いや、今だけなら良い。先生もお前の事欲しいって言われても困るだろうしな…」
「はぁ…ッ……せん、せぇって?」
「お前は知らなくていい」
“先生”と言う単語に少し心を乱された。
彼が言う先生と、私が思う先生は違うと分かっているのに
あの時の「合理的虚偽」と言う言葉が私の心を駆け巡る。だって、みんなが欲しいのは私の個性だ。
「嘘でもいい…今だけ、私のこと好きって…必要として…お願い…」
涙がこぼれ落ちる。敵に何を言っているんだろうか満たされない気持ちを行為で埋めようとする立派な依存だ。先ほどまでの恐怖と快楽と生に対する執着とそんな自分への失望は、彼に離されたくないと言う大きな依存へと変化してしまった。
監禁された子はその相手に恋をする。
今がその状況なのかもしれない。
「“今”だけは、甘い言葉をかけてやる」
「ッ…はあ」
死柄木はまた、律動を始める。額、そして、涙を舐めとるように目元、頬、へ順番にキスをして。最後に、唇に触れるだけのキスをした。
「その代わり…役に立てよ?」
そう言われて、大きく頷いた。