第23章 23 ※死柄木
あんな風にされるとと言われて、あの傷みと恐怖に手の震えが止まらなくなった。
すると死柄木は、真面目な顔をして私の頬を撫で、甘い声で囁いた
「安心しろ、オレは痛い事、怖い事はしない」
「…本当ですか?」
「お前次第だけどな…」
そう言って死柄木はベットに手を置いた。
その置いたベットがボロボロと崩れ始める…彼が指を少しあげるとベッドの破損は停止をした。
彼はさっき“俺が治した”と言った…それは、嘘だ。
「治癒の個性じゃない?」
「っ…けど、オレが治してやったには間違いは無いからな」
彼の喋り方はどこか幼稚な感じがした。きっと、不安定な何かを抱えている人なんだろうな。どうせ、こんな場所では解放をされる事はないそう思いながら彼の頬に手を伸ばし軽く唇を重ねた。
音などならない本当に触れだけのキスだ
唇を離すと、死柄木は私の唇を親指で撫でる優しい手つきに目を細める、けれど、撫でていた指を口の中に入れられる。少し空いた隙間に瓶に入った水のような液体を流し込まれる。ここに来てから水分を取っていなかった私の体は口の中に入れられる謎の液体をだらし無くこぼしながら飲み込んだ。
「っはぁ…ゲホッ…今の、なに?」
「知るか」
死柄木がビンを握るとその瓶は灰になりサラサラと床に落ちる。知るかと言われてなにを飲ませたのか分からないのかと不安になった。ああ、そうだこの人も敵だったんだ。やって良い事、悪いことなんて関係無いんだ。
「毒かもな…」
「…っ」
「預かったモノを飲ませた」
また、この思考だ。
荼毘も、死柄木も…どうして、こんな事になったんだろう。
だれか、助けてよ。視界が歪み始め、頬に水が流れた。