第23章 23 ※死柄木
荼毘にこの場所へ連れてこられた時、カウンターに座っていた人だと思い思わず身構えてしまう。
周りを見渡しても、荼毘は居なくなって足や手を見ると元の色に戻っていた。
…治してもらえたんだと安心をした。
それでも、逃げる気すら起こらなかった。
「オレがお前のこと治した」
そう言われて目が点になった。治癒の個性なのだろうか…
寝転んでいた体を動かして自分の血で汚れたであろうシーツに割座をする。
「あ、ありがとうございます…。」
「別に…なぁ、お前さっきの事覚えてるか?」
「さっきの事?」
そう問われて思い出そうとしても、彼とは話したことは無かった。名前も知らなければどうして彼が私を助けたのかさえ分からなかった。
とは言え治さなければ使い物にならないから荼毘の命令か何かで治してくれたんだろう
「ごめんなさい…あなたの事知らないです…」
そう言うとニターッと笑みを浮かべて私に顔を近づけてくる。その顔が不気味でなるべく目を合わさないように言葉を続けた
「ごめんなさい…私、本当に何にも覚えてなくて」
「欲しけりゃ、勝手に入れて中出ししていいってな…お前の個性発動させろ」
そう言って、私の肩をドンと強く押して彼は私を押し倒した。
彼にいつ個性を話したんだろう覚えていない…けれど、痛みから逃れるためにきっと、私は逃げたんだ。
そう思い体に力が入らなくなった。
「…おい、なんか言え」
「あなた、誰ですか?」
「は?なんで、このタイミングで名前聞いてんだ?バカなのか?」
「バカだと思います…けど、犯されるなら名前ぐらい知っておきたいです」
「バカとはやりたくねぇ…」
「なら、しないでください。もう、汚れたく無いんです」
「死柄木弔」
「バカとはしないんですよね?」
「立場を考えろ、だから、荼毘にあんな風にされるんだ…やっぱりただのバカか」
「…ッ」