第1章 前編
「勝手にごめん! ……が本当にトランクス君のこと覚えていないのか、知りたかったんだ。僕」
先に謝ったのが良かったのか、トランクスはそれ以上声を荒げなかった。
「……覚えて、なかっただろ」
ただ、そう小さく呟く。聞かなくてもわかる、というように。
悟天がゆっくりと頷くと、トランクスは小さく笑った。
「……でも、そこで頭痛起こしたんだよ」
「え?」
トランクスが驚いたように悟天を見る。
「僕には、が完璧にトランクス君のことを忘れているなんて、やっぱり信じられない!」
悟天は声を大きくして言う。
「だって、二人とも……恋人同士だったんでしょ!?」
辛そうに言う悟天から静かに背を向け、トランクスは見晴らしの良い窓から空を見上げた。
構わずに続ける悟天。
「ねぇ、トランクス君。もう半年経っちゃったんだよ? ずっとこのまま会わないつもりなの?」
「……」
「トランクス君は、まだのこと……好きなんだよね?」
「あぁ」
短く、だが即答するトランクスに悟天はぐっと拳を握る。
「だったら! 会いに行って! 覚えてなくても、また最初から始めればいいじゃない!!」
今まで抑えていたものを吐き出すように言う悟天。