第1章 前編
「うん。元気だったよ。……でも、」
「!?」
悟天の少し曇った声にトランクスの顔色が一気に変わる。
「何かあったのか!?」
その迫力に一瞬気圧されそうになりながら、悟天が続ける。
「今日、いきなり頭痛起こして……例の後遺症だって言ってた」
「頭痛!? 後遺症って、そんなの聞いてないぞ!」
「ぼ、僕だって今日初めて知ったんだよ!」
今にも掴みかかって来そうな勢いの幼馴染に焦る悟天。
「……そうか、ごめん。で、平気そうなのか?」
一拍置いて、自分も頭痛を起こしたかのように額を押さえてトランクスは大きな椅子に腰掛ける。
悟天はほっと一息ついて、再び話し始める。
「うん。頭痛は時々あるみたいで、でもいつもすぐに治まるって言ってた。今日もちょっとの間だけだったし」
「そう、か……」
机に肘を付き額を押さえたままのトランクスを見下ろしながら、悟天は迷う。
……今日、が頭痛を起こしたきっかけ。
「トランクス君……?」
「ん?」
トランクスはこちらを見もせず応える。
相当参っている様子だ。
そんな今の彼に言うのは、酷なのかもしれないけれど……。
「今日ね、の前で……トランクス君の名前、出したんだ」
途端、トランクスが顔を上げガタンっと席を立った。
「何で!?」
その表情には怒りより焦りが多く見えた。