第1章 前編
同様、の母も悟天のことがお気に入りだ。
「あ~、ごめん! これからちょっと用事があるんだ。また今度お邪魔するよ」
「ふーん。……で? 誰ちゃんのトコに用事?」
が続けてにっこり言うと、悟天はちょっとバツの悪そうな顔をした。
「違う違う。今日はこれから幼馴染に会いに行くんだよ」
悟天はガールフレンドがたくさんいる。
はその類の相談を何度か受けたことがあったので、そう考えたのだが。
「そんなこと言ってぇ、その幼馴染も女の子だったりして~」
「違うよ! 思いっきり男! あ。その顔は信じてないな!」
「そんなことないよ~」
悟天の反応を面白がって、はわざと意地悪そうに言う。
すると悟天は少し間を開け、口を開いた。
「トランクス君って言うんだ。幼馴染」
「――っ!」
瞬間、頭が鈍く疼いた。
……今、何て言った?
“トランクス”?
……その名前は、どこかで……。