第2章 後編
「違うよ、トランクス君! が……」
「はさっきオレたちの目の前で倒れたばかりだろう!?」
「ついさっき目が覚めたんだよ。それにね……」
「だったらしばらく安静にさせないといけないだろう!!」
悟天の言葉を遮ってトランクスの口から出てくるのは、すべてを心配する言葉。
なのに……一度もこっちを見てくれなくて。
それがとても辛くて……。
「トランクス」
頭で考えるよりも先に、口が動いていた。
彼の名を、呼んでいた。
トランクスの青い瞳がこちらを向く。
「トランクス」
「……?」
もう一度呼ぶと、トランクスが小さく応えてくれた。
この瞬間が、もう一度訪れるなんて思っていなかった。
彼が私を見て、名前を呼んでくれる時が、また来るなんて……。
「トランクス君。、記憶が戻ったんだよ」
その瞳が大きく見開かれる。
「全部、思い出したんだよ。トランクス君のことも」
悟天の言葉にトランクスは激しく動揺しているように見えた。
繋がっていた視線がスっと外れる。
「オレ、は……」
俯くトランクス。
乾いた唇を一度固く閉じてから、はゆっくりと彼に話しかける。
「お母さんが、話してくれたの」
「え……?」
戻ってくる瞳。
それをまっすぐに見つめて、は続ける。
「全部……トランクスに私と会うなって言ったことも。全部、話してくれた」