第1章 前編
さっきまでの嫌な感じのものではない。また別の……。
その人物が二人の上空に止まり、降りてくる。
は目が離せなかった。
そして、二人の前へ降り立つと同時、それまで輝いていた金色の光が消えた。
「!!」
は目を見開く。
……この人を知っている……。
そう思った。
記憶には無いのに、確かにそう思ってしまった。
きっちりとしたスーツ姿の青年。
彼は、綺麗な紫色の髪をしていた。
それは今朝見た夢と、同じ色。
胸がドキドキと煩い。
だが彼はの方を見ようとはしない。
悟天の方を睨み、言う。
「悟天……どういうつもりだ」
その声。
ひどく懐かしいと感じたその声も、夢と同じもの。
「僕、やっぱり納得いかなくてさ。を連れ出せばトランクス君の方から来てくれると思って」
……トランクス?
その名前は昨日も聞いた。――そうだ。悟天の幼馴染。
……瞬間、頭に火花が散った気がした……。