第4章 04
‥
「焦凍!こっちだよっ」
「まって…凛!」
青い芝生の中を2人で風を切って走る。
この頃の私たちには身分なんて分からなくて、2人で毎日楽しい時間を過ごしていた
「こら、凛…焦凍様でしょ!」
「凛だけは、焦凍でいいってオレが伝えてるんだ」
「へへーん!そうなんだよー!」
焦凍の顔にはまだ火傷後がなくて個性も発動していなかった。
一方、私は香りを出せる個性が発動していた…
「焦凍…これ、なんの香りだ?」
「あ…リンゴか?」
「ピンポーン!」
「蕎麦の香り出せる?」
「うん!」
香り当てクイズをしたり追いかけっこや隠れんぼをして遊んだ…
いつも通り遊んでいると突然、焦凍の個性が発動をした。
その個性をみた旦那様は強引に焦凍を引っ張り道場がある方向へと連れて行ってしまった。
私はあまりの突然の事で驚き現実がまだ分かっておらず、ある日の朝早くに焦凍を誘いだした。
焦凍と2人池の周りで遊んでいると、ドジな私は足を滑らせてしまい池に落ちたた。
慌てた焦凍は私に手を差し伸べ引きずり上げてくれた
「ありがとう…焦凍」
「…大丈夫か?」
濡れた髪の毛を耳にかけてくれる焦凍の表情がいつもより格好よくて私は顔を真っ赤にした。
その顔をみた焦凍は少し笑い
「凛は可愛いね…大人になったらオレが凛の事守ってやるから」
「…ありがとう…焦凍」
そういい手を握りあい、その手を互いの額に付けあって笑いあった。
私は初めて恋をした。