第1章 出会いと別れ
「僕は大丈夫なの?」
「え?…あ、そういえば…」
「…僕、男なんだけど」
「あ、うん?そうだ、ね…?」
何か機嫌を損ねることを言ってしまったのか、目を吊り上げてずいずいとその綺麗な顔を近づけてくる。
「僕といて大丈夫ってことは、男って意識してないってことだよね?」
「ちっ、違っ…!」
てか近い!近い!!
「て、天くんは、ちゃんと男の子だな、って思って、るし…、」
「……」
「な、なんか他の男の子とは違う、と言うか…、安心、するというか、ううん…」
「………」
「……天くんは、特別…」
……あれ?
今何も考えてなかったけど…
え、なんて言った?自分。
「……そっか」
すると、天くんは満足したのか、少し微笑んでゆっくり離れていく。
「………っ」
っはぁー!!
緊張した…!
「ふふ」
柔らかな笑い声が聞こえて、どうしたんだと思い、天くんの方を見ると、
ぷにっ
と人差し指で頬をつつかれた。
「へっ?…」
かあああ、と顔に熱が集まっていくのを感じた。
「あ、また赤くなった。」
柔らかな笑顔でそう言われると、胸が一段と高鳴った。
「……っ、あ、」
するとちょうど自分の家の前につき、声を出す。
「あ、ここだから!!」
「へぇ、ここか。」
「うん!…じゃ、じゃあバイバイ!」
「毎日あそこにいるから、暇だったら陸のお見舞い来てあげて。」
「…!う、うん!」
じゃあ、おやすみなさい、と言い、あの柔らかな笑顔で手を振る天くんは、私がドアを閉めるまでずっとそこにいてくれた。