第1章 出会いと別れ
「ーーごめんね、長居しちゃって。」
「こっちこそごめん。まだ知り合ったばかりなのに長々と話しちゃって。」
「あはは、お互い様だ」
そう笑って言うと、天くんもつられて微笑む。
夕暮れの空を背景に微笑む天くんは、とても幻想的だった。
今日1日で何回この人を綺麗だと思っただろう。
それほど私の右隣にいる色素の薄い男の子は綺麗だった。
「わざわざ送ってくれなくても大丈夫なのに。」
「僕が送りたいからいいの。」
少し顔を桃色に染めてつん、と言う感じにそう言う。
今日1日で分かったことは、意外にもツンデレな所がある、ということだ。
「の家、こっち方面なの?」
「そうだよ。…どうして?」
「僕の家と近いね」
「え、そうなんだ!」
すると、天くんはまたも首を捻る
「でも、家が近いなら中学も一緒じゃ…?」
しかし、私の制服を見ると、あぁ、と納得した。
「中学受験?」
「うん、そう。」
「受験しなかったら僕と一緒だったのにね。」
「……」
「……?なに?」
「私、男の子がちょっと苦手で」
えへへ、と苦笑いすると、天くんは眉をひそめた。