第2章 雪と桜色
「ふふっ、あははっ、」
「な、なんで笑うのっ…!」
「んー?」と頭を撫でられて、怒る気も失せてしまった。
……ずるすぎる。
「かわいい嫉妬、僕は嬉しいけどね」
ちゅ、とおでこにキスをされる。
「そんなかわいいに、特別に教えてあげる」
「…?」
「僕、恋愛ドラマでは相手役の子、だと思って演じてたから。」
「えっ…!」
びっくりして固まっている間にも、
鼻、頬、瞼、首筋とキスをされるが、それどころではなかった。
「うぅ…ずるいぃ……」
「ね、だから見てよ、ドラマ。」
「……うん。」
「あ、そうそう。来月ライブやるから見に来てよ。」
「…でも、チケット取れなかった。」
むす、と不貞腐れると、天くんは小さく笑った。
そして上半身だけ起こして自身のバッグの中を漁る。
「はい」
「え…?」
「誕生日プレゼントとクリスマスプレゼント。」
手渡された物には、
「関係者」と書かれたネームプレートと、
関係者席のチケットだった。
「うそ…」
「これ首にかけてればいつでも出入り出来るよ。」
「でもこんなの…悪いよ」
「言ったでしょ、プレゼントだって。それに、もうは僕の関係者なんだから。」
「関係者…?」
私が聞くと、またおでこにキスをして、耳元で
「恋人…でしょう?」
そう囁いた。
「……うん…っ、」
ぎゅううっと天くんを抱きしめ、
ありがとう、と言い、
引き寄せられるようにキスをする。
幸せだ、と感じた18歳の夜ー。