第2章 雪と桜色
ーー季節は冬。
街を歩けば綺麗なイルミネーションが輝き出し、赤と緑が多くなる季節だ。
そして、私も今年は受験生である。
「あ、見て見て!」
周りがざわめきだし、私もつられて見てしまう。
「TRIGGERだ!!」
「新曲かな?」
「知らないの?あれ、天くんがやってるドラマの主題歌だよ!」
「…………」
「あの日」から5年が経った。
あの時はたくさん連絡し合っていたけど、私が16歳の頃ー…つまりTRIGGERがデビューし始めた頃だ。
その時から連絡が少なくなってしまい、今では全然しなくなってしまった。
もう忘れてしまったんだろうか、私のことなど。
所詮は子供の頃の恋愛だったし、天くんも芸能界で良い人を見つけてしまったのかもしれない。
…などと考えてしまう。
知ってるんだ。天くんはそんなことをするような人じゃないって。
でも、どこかでそんな気持ちになってしまって。
「…………天くん、会いたいよ…」
そう呟いても、人混みにかき消されていく。
なんだか、今は遠い存在の人になっちゃったな…。
「そうだ、今日は陸くんのお見舞いの日だった。早く行かなきゃ。」
雪が静かに振る中、私は小走りで陸くんのいる病院へと向かった。