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さくらいろ❀.*・゚アイナナ

第1章 出会いと別れ




「はぁ、だめだ…。天くん見ると昨日のこと思い出しちゃって…。」


部屋を出て廊下を歩いて壁にずるずるともたれかかりながらしゃがむ。


「全部、天くんがかっこいいのがいけないんだ。うん、きっとそうに違いない。」


ふわふわ、ふわふわ。

昨日からずっと夢見心地で落ち着かない。


「………5年後かぁ」

「それまで待てないの?」

「うう〜ん、そうなのか……も…………?」

「へぇ、待てないんだ」


聞き覚えのある柔らかな声に顔をあげると、私の前で私と同じようにしゃがんでいた、天くんがいた。


「え、て、天くん!?いいい、いつから…」
「はぁ、だめだ…。天くん見ると昨日のこと思い出しちゃって…。辺りから。」


さ、最初から……!


「うぅぅ…恥ずかしさで死ねる……。」
「ちょっと、死なれたら困るんだけど。」


体育座りになって膝に顔を埋めて隠す。
ほんとに恥ずかしすぎて顔真っ赤だよ、絶対。

すると、天くんは一息ついて私の隣で同じように体育座りをした。


「まぁ、今はまだ僕が責任取れるような歳じゃないからそういうことは出来ないけど…。頑張って我慢して。」
「……うん。」


そうだけど、そうじゃない。


それまで、会えないってことでしょ?
でもこんな我儘言ったら、天くんが困るし…。
それに、1番辛いのは天くんだから、言えない。


「…」


ふわふわと頭を撫でられる。
やめて、泣きそうになっちゃう。


「僕、絶対連絡するから。」
「…!」
「離れてても、誰のことも好きにならないし、のことしか考えないし。ていうかそれ以外考えられない。」
「…うん。」
「会うことは…難しいかもしれないけど、5年後のの誕生日に、必ず会いに行くと約束する。」
「っうん…。」


どうしよう、泣いちゃう。
昨日たくさん泣いたのに。

「、顔あげて。」
「…、でも」
「いいから」


そう言われて顔をあげると、
昨日みたいな、優しいキス。

「……っ、天くん…」
「うん、よく似合ってる」
「え?」


ここ、と天くんが自身の首元をちょんちょん、と指さす。

おそるおそる自分の首元を見てみると


「……ネックレス…」
「まあ、中学生のお小遣いで買ったから安物だけどね」


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