第1章 出会いと別れ
「「「ハッピーバースデー!!」」」
パンパン!!
と愉快そうにクラッカーを鳴らすと、天くんと陸くんの誕生日会が始まった。
2人はとても嬉しそうにありがとう、と言い、お互いを見ながら微笑んでいた。
「すみません、なんか私だけ…」
「いいのよ、天と陸だってお友達が来てくれた方が嬉しいだろうし」
「俺、友達と誕生日会って初めてだから嬉しい!」
「僕も、嬉しいよ」
お顔が綺麗な人達に眩しい笑顔を向けられて眩しい。
でも、2人が喜んでくれてよかった。
そして天くんも、最後の思い出を作れて…。
(あ、おいしい…)
七瀬家のお母様、お料理上手…。
私もこのくらいになれるように頑張ろう、と思い、ちらりと天くんを見る。
天くんも美味しそうに、大好物のオムライスを頬張っていた。
…かわいい。
そっか、まだ13歳なんだもんなぁ。
13歳…
『5年後ー…』
そこで、ぶわわ、と顔が一気に赤くなっていくのを感じた。
(どどど、ど、どうしよう。そっか、もう将来のや、や、約束とか、しちゃったもんね。あ、あ、あと、ききき、キス…も。)
「ちゃん?なんか顔赤いよ?大丈夫?」
「ひぃ!!だ、大丈夫!!ちょっとお手洗いお借りします!!!」
陸くんの純粋無垢な瞳でそう言われるとなんだかいたたまれなくなり逃げてしまった。
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「……どうしたんだろうね、ちゃん」
「…お手洗いの場所知らないだろうから、僕行ってくるよ。」
「うん、行ってらっしゃい」