第1章 出会いと別れ
「これは天くんがずるい…」
「そうだね」
ふふ、と余裕そうに笑う天くんに悔しくなって、
「わ、私の方が天くんのこともっと好きだよ!!」
子供みたいなこと言ってしまった。
「………え?」
「…あ」
そして、2人して顔が赤くなる。
「僕のこと、好きなんだ?」
「…、うん」
「じゃあ、付き合おうか」
「………!!」
予想外のことにびっくりして顔をあげた瞬間、
ふわり、と天くんの香り
と、
優しい口づけ
「……っ、て、ん…く」
「返事は?」
「…はい」
お利口、と言い、また口づけをする。
「ん、」
「…、かわいい」
「天くん、いつ行っちゃうの?」
「2週間後、かな」
「…そっかぁ」
意外と短い時間だということを知り、分かりやすく落ち込んだ姿を見せてしまう。
「…このこと、陸には言わないで」
「どうして?」
「陸が自分のせいで僕がいなくなった、なんて思われたら嫌だし、陸の病気はストレスに良くないからね。」
「…うん、わかった」
本当に、どこまでも弟想いで優しい人なんだ。
…そういうところが、大好き。
「明日、家で誕生日会するんだ。おいでよ。」
「え、いいの?…あ、そういえば天くんの誕プレ」
「うん、がほしい」
「え……、と?具体的には…」
「明日一日中、僕から離れないで」
あ、なんだそういうことか…。
てっきり大人の階段を登るのかと…
「えっちすると思った?」
「へぇえ!???!」
ズバリ言い当てられ、あられもない声を出してしまった。
「…思ってたんだ。」
「いや、えっと…」
「って意外とえっちなんだね」
そんなこと言わないで!
ていうか天くんがえっちって言うとなんかドキドキするから言わないで!!
「安心して、そういうのはお互い18歳になってからするから」
「え!」
はやい!後5年後!
「の誕生日いつ?」
「12月25日…」
「じゃあ5年後のその日には必ず会おうね。」
「…っう、うんっ!」
…なんだか夢みたいだ。
男性恐怖症の私が、こんな会話をして、その上こんなに素敵な彼氏が出来るなんて…
「…幸せ」
「…僕も」
自然と唇が磁石のように引き寄せあって、
甘い、甘いキスをした。