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さくらいろ❀.*・゚アイナナ

第1章 出会いと別れ




「天くん、どうし…」

近くの公園に着き、天くんにどうしたのかと聞こうとすると、
ふわりと優しく抱きしめられた。

「……っ、」

突然のことにびっくりしすぎて何も言えなかった。
トクントクン…とお互いの心音が響く。

そして、優しく甘い天くんの香りに、自分は今抱きしめられているのだと感じさせられる。


「…僕、もう少しでここを離れるんだ。」

「………え……?」


どういう、こと?
離れるって…


「転校…するってこと?」
「違う」
「夏休みの間だけ旅行行くってこと?」
「違う」


先ほどまでの甘い心音は無く、
嫌な音をたて始めた。


「…じゃあ、どういう……」
「養子になるんだ」



よう……し……?



「え、まって、ほんとにわからな…」

私は天くんの顔を見て話そうと離れようとするが、天くんにきつく抱きしめられ、叶わなかった。


「…七瀬天じゃなくなるってこと」
「……っ、え、」


だってそんなの…

「陸くんは…?陸くんはどうするの…?」


そう問いただすと、先ほどよりも抱きしめる力が強くなった。


「………天くん、何があったのか話してくれる…?」


天くんはきっと今、1人で抱え込んでいる。
支えが必要なんだ。天くんが壊れないように。


「私、ちゃんと聞くよ。顔見られたくないなら、このままでも大丈夫。」


ぽん、ぽん、と天くんの背中を優しく叩いてそう言うと、
「ありがとう」と耳元で、少し震えた声で言った。

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