第1章 出会いと別れ
あれから6日が経ち、明日はいよいよ天くんと陸くんの誕生日になろうとしていた。
……が
「どうしよう…」
陸くんはいつも読んでる本の最新刊がほしいと言っていたからそれにしたけど…
『がほしい』
「うっ……」
天くんへの誕生日プレゼントが全く決まっていない。
そもそも、私がほしいってどういうことなの?
「ダメだ…どうしよう」
陸くんは2日前に退院してもう天くんとはお見舞いに行けないし…
「あ、連絡先交換したの忘れてた。」
そうだそうだ、世の中にはスマホという便利な物があるじゃないか。
何をやっているんだ自分はと心の中でツッコミをいれて、天くんに電話をかけた。
『どうしたの、』
「あ、天くん!…あのね、えっと…」
『…?なに?』
ほら、聞くんだ、頑張れ自分!!!
「こ、ここの間、誕プレ何がいいか聞いたときっ、そ、そそ、その…わ、私がほしいって!!」
『………』
「ど、どうすればいいのか、わからなくて…」
『………』
どうしよう、天くん喋らなくなっちゃった。
『ふふ』
「へ…?」
『ちょっとまってて』
「え、うん」
そう言うと通話が切れた。
「え、え?なに?」
戸惑っていると、家のチャイムが鳴った。
私が出ようとして玄関へと向かったが、既にお母さんが出ていた。
「!お友達来てるわよ!」
「友達…?」
まさか…
「て、天くん!?」
目の前には、2日ぶりの天くんが優しい微笑みをして立っていた。
「すみません、お母さん。さんちょっとお借りしますね。」
「ええ、ぜひ!」
「え、ちょ」
まって、と言う前に天くんに手を引かれ外を出た。