第1章 金曜日の夜 合コンと出会いと健全Day
そんな彼に、少し興味が湧いた。
そんな事を考えていると、彼に話し掛けられる。
「合コンには、よく行ったりするのか?」
「いえ、むしろあまり好きじゃなくて。今日は珍しく楽しかったですけど」
「奇遇だな。俺もああいう場は好きじゃねェ」
”奇遇”と言う彼の言葉が、妙にストンと腑に落ちた。
それに、先程の彼のイメージとは違い、少し乱暴な言葉使いに少し驚いた。
今日は健全Dayらしく、しっぽりと一人飲みを堪能しようと思っていたが彼に興味が湧いてきたのも事実だ。
「良かったら一緒に飲みませんか?」
そう提案した。
そんな私の言葉に彼が一瞬止まる。
「…誘ってくれたのはありがたいが、人を待ってる」
そう彼は返す。
確かに、彼の荷物は席に置いてあるままで、今もグラスを手に持ってはいない。
つまり、一緒に飲む気はなかったという事だろう。
彼の以外な一面と、少し自分と似ているかもしれない共通点を見つけ、つい自分から彼を誘ってしまった。
男性から誘いを断られた経験は、初めてに等しかった。
男のいらない健全な日などと自分で決めていたのに、それを破ってしまった結果だろうか。
それでも何故か嫌な気はしなかった。
誘ってしまった事を笑顔で謝ると、彼は自分の席へと戻っていった。
(なんか少し笑っていたような気がする…)
イケメンの笑顔は目の保養だ。
さっきよりお酒が美味しくなった気がして、グラスを空にした瞬間、ドカッとすぐ隣で誰かの座る音がした。
今度こそナンパかと思い隣を見ると、先程の彼が荷物を持って座っていた 。
「えっ?ど、どうしたんですか?」
「…ドタキャンされた」
「え、ドタキャン?」
(まさかこんなイケメンがドタキャンされるとは…)
相手は一体どのような女性だろうか。
世の中にはまたまだ不思議なたくさんあるものだ。
「一度断っておいて虫のいい話だが、さっきのお前の誘いに乗らせてもらいてェんだが」
「あ、ええ。もちろん!嫌な事を忘れるには、お酒を飲むのが一番ですから!」
「…フッ、そうだな」
「じゃあ乾杯しましょう!」
女にドタキャンされたなんて、イケメンには酷な話だろう。
ここはお酒の力使って嫌な事を忘れさせてあげよう。
そんな謎の使命感に駆られる。