• テキストサイズ

バッカス恋物語【ONE PIECE】

第1章 金曜日の夜 合コンと出会いと健全Day


(二人でか…)

確かにまだお酒は飲みたいが、それは彼と一緒に飲むという事ではないような気がした。

「この後の支払いは、全部僕が出しますよ?」

そんな事はどうでも良い。

それよりも、この男性の期待のこもった眼差しに、どこか既視感を感じた。

この目はそう…

「ごめんなさい、今日はもうお酒はストップしようかと思って」
「あ、そうなんですか?」

嘘だ。

これはこの場を切り抜けるためのウソ。

「実は僕も、もうお酒を飲む気はなくて…」
「え?」
「良かったらこの後…」

その男性の表情と態度。
こちらを見る期待の眼差し。

次のセリフは手に取るように分かった。

「…ホテルには行きませんよ?」
「えっ?」
「じゃ、また!」

私がそう言うと、その男性はバツの悪そうな顔をした。

やはりそうだ。

”そういう風に見られていた”のだ。

お酒好きな私に合わせて、そんな誘い方をしたのだろう。

それに、お金を出せばついて来ると思われたのにも腹が立った。

でも、こういう誘いは慣れている。

だが、さっきまでの良い気分が台無しだ。

”せめてラインだけでも”という彼の強情な誘いも断り、私はその場を後にした。

ウブだと思っていて、正直油断した。

だが、そんな油断をするぐらい、今日の合コンが普通に楽しかったのだ。

お酒が入っているせいか、こんな些細な問題にイライラしている自分がいる。

一人飲みは嫌だったが、今は頭を冷やしたい。

そう思い二軒目を探していると、お洒落なBarに目が止まった。

(こんなお洒落お店あったっけ…?)

今日の私は健全Day。

一人飲みには少し敷居が高いであろうそのBarに、吸い込まれるように足を踏み入れた。

外観から受ける印象よりも広い店内には、うっすらとジャズのBGMが掛かっていた。

照明の暗さもちょうどいい。

良いお店を見つけた。
たまには一人飲みもしてみるものだと、少し軽くなった足取りでカウンター席に座った。

知らないお酒から見た事のあるお酒まで、様々な種類のお酒が、目の前にズラッと並べられていた。

その中から、普段飲んでいるバーボンウイスキーを見つけて注文した。

/ 45ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp