第1章 金曜日の夜 合コンと出会いと健全Day
そんな事を思っていると、その子の目の前の男性が、その子に話し掛けた。
「俺が帰り送って行こうか?」
「そ、そんなっ、悪いですよ!」
「全然大丈夫だよ。酔っ払ってるんだったら、一人で帰るのは危ないよ?」
「あ、ありがとうございます。じゃあお言葉に甘えて…」
ワンペア成立。
この男性は紳士男子だ。
それとなくサラッと、女の子を持ち帰るタイプ。
そんな事を分析していると、その女の子が紳士男子にお礼を言って可愛らしい笑顔で笑っていた。
そんな彼女の笑顔は、とてもとても可愛かった。
(私はこんな風に素直に甘えられないかも…)
そんな二人を微笑ましく思いながらも、頭の中にネガティブな考えが浮かんでしまう。
このような場でそんな事を考えるのは良くないと、その考えを振り払うかのように、自分のグラスのお酒を一気に飲み干した。
ふとナミの事が気になり目線を変えると、男性側の幹事と良い雰囲気で喋っていた。
男性の方は少し化粧をしているのか、とても肌が綺麗で、髪の毛が金髪だった。
一体何の仕事をしているのだろうか。
(ホストか美容師…?)
その男幹事と喋っているナミの笑顔も、今の私にとっては最高の酒の肴である。
そんなこんなで、合コンの雰囲気にも慣れてきた頃、店員さんがラストオーダーの注文を聞きに来た。
「じゃあ今日はそろそろお開きね!」
「あとは各々って事で!」
そうナミと男幹事がその場の締めに入る。
思っていたよりも楽しかった。
というより、美味しい料理にたくさんの種類のお酒を飲めた事に満足した。
ラストオーダーしたお酒を一気に飲み干し、合コンは無事終了したのだった。
店の外に出ると、自分以外がそれぞれペアになっていた。
ナミもこちらに手を振りながら、男幹事と何処かへ向かって行く。
(私もまだ少し飲み足りないな…)
今日の合コンは思っていたより居心地が良く、初めて合コンを楽しいと思ったかもしれない。
爛れた合コンではなく、安心安全で健全な合コン。
合コンに安心安全という言葉は合っているのだろうか。
そんな事を考えていると、先程目の前に座っていた男性が声を掛けてきた。
「ももさん、帰られるんですか?もし良かったら、この後二人で飲み直しませんか?」