第4章 旧友と看板娘 昔話と恋愛相談
俺にも何度か”牽制”の眼差しを送っていたのを思い出す。
ももを合コンに連れてきた張本人だというのに何を考えているのかと思っていたが、今となってはその女幹事の考えが少し分かるような気がした。
”大事な友達に手を出すな”
そういう事だろう。
『昨日の話もしたい。これから飲みに行かねェか?』
携帯で時刻を確認すると、18時過ぎだった。
昔から眠りは浅い方で、ここ数年寝たり起きたりを繰り返す毎日が続いているが、ももを抱き締めながら寝た時は久々に熟睡できていたような気がする。
「じゃあ、いつもの店で良いか?」
『おォ!さすがロー!愛してるぜェ!』
「あー、分かった分かった」
コラさんとの通話を切り、軽くシャワーを済ませ身支度を整える。
普段ならタクシーで向かうところだが、久々に電車でも使おうと思った。
もしかしたら、ももと会えるかもしれない。
そんな期待を抱きながら電車に乗ったが、そんな奇跡は起きず、無事いつもの店に着いたのである 。