第2章 新たなる冒険 初めて生まれた感情
「…それに関して、俺もお前に聞きたい事がある」
そう言うローさんの声は、いつもよりワントーン低かった気がした。
「なんでしょうか?」
「お前、自分が何を言っていたか覚えているか?」
(私が何を言ったか…?)
それは、行為中の、という事だろうか。
そんなの覚えているわけない。
先程も頭がボーッとしていて、なんとなく自分が何を言っていたか想像はできるが、そんなの恥ずかしすぎて思い出したくもない。
「もも?」
「いや、その、すみません。全然覚えてなくて…というか、思い出したくもないと言いますか…」
私がそう言うと、ローさんの顔が暗くなったような気がした。
「あ、もしかして私、何かローさんに酷い事を!?」
「いや…」
あのローさんが言い淀んだ…
「い、言って下さい!謝りますから!」
「…別にいい。何も覚えてないんだろ?」
「は、はい…」
「…じゃあいい、早く食え。飯が冷める」
ローさんが昨日の事を話したくない事だけは、なんとなく分かった。
そして多分、私が何か酷いことを言ってしまったという事も。
腑に落ちないまま食事を終えると、ローさんが家まで送ってくれると言ってくれた。
そう言うローさんは、やっぱり元気がないように見えた。