第2章 新たなる冒険 初めて生まれた感情
軽くメイクも済まし、バスルームから出ると、テーブルに美味しそうな和食がズラっと並べられていた。
「良いにおい…」
「クリーニングしたスーツ、ここに置いとくぞ」
「え?」
(という事は、このスーツを着なくても済んだんじゃ…)
「随分早かったようだが、ちゃんと暖まったのか?」
「はい、でもこんな時に、ゆっくりお風呂になんて浸かってられませんよ」
早く昨日の自分の失態を、ローさんから聞かなければ。
そんな事を思っていると、ローさんが箱からネックレスを取り出した。
「こっちに来い」
何故か逆らう事ができず大人しくローさんのそばに行くと、向かい合ったまま、首にネックレスをつけられる。
(ち、近い…)
目が合ったと思ったら、頬に軽くキスをされた。
「よく似合う」
そうローさんが優しく笑った。
心臓が破裂するかと思った。
ローさんがしてくれたそのネックレスは、ピンクゴールドを基調としていて、ハートのデザインをしていた。
「これ、ローさんが選んだんですか?」
「ああ、気に入らなかったか?」
「いえ、とっても可愛いです」
そうネックレスに触れながら、私は笑った。
そんな私を見て、ローさんの体が固まる。
「…飯、食うぞ」
「は、はい…」
(どうしたんだろう?)
テーブルに着き、届いたルームサービスの和食膳を食べながら、ローさんに昨日の事の顛末を聞く事にした。
どうやらBarを出て二軒目で飲んだあと、ホテルの部屋を別々に取るとローさんが提案してくれたそうだ。
深夜にタクシーで帰宅する元気がお互いになかったからだ。
それを承諾した私は、ホテルに併設されたBarでまた飲み直そうとローさんを誘った。
(そこまではなんとなく覚えてる…)
さすがにもう休もうと、同じ階の隣同士の部屋を取ってくれたローさんが私を部屋まで送ると、部屋で飲まないかと私が誘ってきたらしいのだが、ローさんはその申し出を断った。
その途端に私が大声で泣き出し、部屋に入ると私からローさんにキスをし始め、行為に至ったという事らしい。
「う、うわー…」
自分の行動にドン引きした。
おそらく、今の話に嘘偽りはない。
全て真実だろう。