第2章 新たなる冒険 初めて生まれた感情
「どうした?まさかまたシたく…」
「な、なってませんッ…!」
「じゃあ一緒に風呂に入りたく…」
「ありませんッ…!!」
私のその言葉で、ローさんが少しシュンとなった気がした。
(あ、可愛い…)
ってそうじゃないッ…!
話を進める前に、まずは服を着なければ。
だけどその前に、やっぱりお風呂に…
「…あれ?体、ベタベタしてない」
「さすがにあのまま寝かせるのもな。できる限り綺麗にしたつもりだ」
完璧なアフターケアだ。
それに、今くるまっている布団もシーツも新しい。
肌もサラサラしてるし、何だったら良い匂いもする。
ふと、ローさんが自分以外の女性にもこんな事をしているのかと思うと、少しだけ心がチクッとしたような気がした。
「風呂から上がったら、これを着ろ」
そう言われ、高級ブランドのショップバックを手渡される。
その中にはスーツ一式とネックレスが入っていた。
「こ、これは?」
「お前のスーツがグチャグチャになった原因は、俺にもある。詫びだと思って受け取ってくれ」
お詫びだとしても、こんなに高額な物は受け取れない。
というか、もしかしたらローさんは金銭感覚が私とはだいぶ違うのではないかと思った。
だが、私のスーツはローさんがクリーニングに出してくれたため、今の私にはこの高級スーツしか着るものがない。
「趣味じゃなかったか?」
「いや、そんな事は…」
むしろ、私の好みど真ん中だった。
デザインも見る人が見なければ、ブランド物だとは分からないぐらいシンプルで、それが更に私好みだった。
「早く風呂に入ってこい。そろそろルームサービスも届く」
「で、でも…」
「やっぱり一緒に風呂に…」
「よ、よーし!お風呂入ってこよー!」
布団にくるまりながらバスルームに入ると、扉から何から全てがガラスで出来ていた。
浴室内もここから丸見えだ。
(まるで外国のお風呂みたい…)
ローさんの言った通り、湯船にもしっかりとお湯が張ってある。
だが、こんな状況でゆっくり入るわけにもいかないので、極力急いでお風呂を済ませた。
髪を乾かし、ローさんから渡されたスーツを身に付ける。
どれもサイズはぴったりだった。
むしろ自分のスーツよりも、着心地も良く感じた。