第8章 届かない宝 【カリム・アルアジーム】
「何でもだ!!何処までだって行ける気がする!」
このまま飛んで行って、何処か遠い所に。
「…ジャミルも幸せで。俺も楽しくて。が横で笑ってて、それが全部揃ってる所に。」
何処か遠くにはそんな夢の様な世界がある筈だ。
「カリム先輩、もっと踊りましょう?」
「ん、あぁ!!そうだな!!」
きっとそんな場合が無いのは分かっている。
それでも、そんな風に思うんだ。
「初めの頃より上手になったな!!」
「毎度毎度、手を取られたら上達もしますよ。」
初めて手を取って踊った時、あまりにもたどたどしいものだから抱き上げてクルクル回ったのを覚えている。その日の事がやたらと懐かしく感じた。
「………うぁっ!?」
「俺、コレが好きなんだ!!」
あの時と同じように抱き上げてクルクル回ると楽しそうに笑いだすから、速度を上げた。
「う、ぅぁっ…っととっ!!」
あまりにも速度を上げすぎたのか、足がもつれて芝生の上に__ドサリ。と尻もちを着く。
「「…………くくっ…あはははっ!!」」
2人で目を見開いてから大口を開けて笑う。この時間が何時までも続いたらいいとそう思う。