第8章 届かない宝 【カリム・アルアジーム】
「……う、うーん?…何かゾワッとした。」
「…え、寒気がするんですか!?」
「いや、…こう、ゾワゾワっと…。」
「……………?ゾワゾワ?」
この内側から込み上げる_ゾワゾワする妙な心地は何なんだろうか。数秒ソレが不思議だったが、自然と動いた俺の身体が全ての答えなんだろうと思う。
「…え?……ぅあ。」
「ははっ!さっき飲んだ紅茶の味がする。」
煩い小太鼓に合わせて小さな唇に熱を寄せた。
「!!…楽しいな!!」
「え。…あ、…はい!!楽しいです!!」
ほんのり甘くて紅茶の香りのする口付けと、天気の良い中庭で君を心から好きだと思った。
____そんな幸せな昼休みの話。