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【ツイステ/短編集】◆ SCaT !!◆

第8章 届かない宝 【カリム・アルアジーム】




「なぁ!いつか何処か遠くへ行こう!!」

本当は今、遠くへ行ってしまいたい。手を繋いだままどこか遠くの、誰も知らないオアシスへ。

「私は、ココで充分ですよ。」
「……そうなのか?」

俺が首を傾げると彼女は目を細めて言った。

「カリム先輩が隣に居れば充分です!!」

祖国の太陽みたいな笑顔が懐かしいと思った。

「ソレで良いのか?もっと色々…。」
「ソレじゃ無きゃ駄目なんですよ!」

俺の手を取る小さい手を守りたいと思った。

「じゃあ、ずっと傍に居る!!」

腕の中に収まった彼女を離したく無いと思った。

「全部、俺に任せたらいい!!」

この腕の中にある宝石には手が届かない。何となくそんな事を思うのは何故なんだろうか。

「…毎度一緒に飯食って、腹ごなしに踊って。」

ソレでも、離したくないとそう思うから。

「一緒に眠って、朝から甘いお茶飲んでさ!!」

これが多分、好きだと言う事だと分かったから。

「俺、毎日幸せしかない世界を作るからな!!」

そんな願望を言ったら彼女はまたクスクス笑った。

「カリム先輩の隣は暑いくらい暖かいです。」

その顔に目を奪われて、顔が__カッと暑くなった。

「あ、あれ?真っ赤ですね。踊りすぎました?」
「……え、あ。…そうなのかもしれないな!!」

覗き込む顔がやたらと可愛らしく見えた。

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