第7章 出来損ないの魔女【ヴィル・シェーンハイト】
「……こうして触れてるだけでもいいの。」
コレで満足かと聞かれたら正直物足りない。
「それに、我慢した分…美味しくなるのよ。」
けれど赤く赤く熟れた方がその果実はきっと甘い。
「………会いたかった。」
夜更かし何て肌に悪いことをしてでも今日だけは…。と思ってしまうほどこの時間が欲しかった。
「私もっ!!会いたかったです!!」
「煩い!!そんなに声を張らなくても聞こえるわよ!アンタ新じゃが達の馬鹿が移ったの!?」
「ご、ごめんなさい!!」
こうやっ必死に伝えてくれるこの子が可愛くて仕方がない。この子がこういう子だから、私が少々素直でなくても関係が成り立つのだと思う。
「そう言えば、ハロウィン…仮装するの?」
「あ、あの、魔女…を。」
「ふっ、ふふ。魔女?魔法の学校で魔法を使えない貴方が魔女の仮装をするの?」
「一日でも…魔女になってみたくて。」
こんな頭の弱い思考回路ですら愛しく思う。
「ま、ある意味魔法はもう使えているわよ。」
「…………?」
あなたが唯一使える魔法は、私の頭を弱くするとても厄介な魔法だということは教えない事にした。
「魔女さんの血は…美味しいかしらね?」
「血?…ってことはヴァンパイアですか!?」
「さぁ、どうかしら?楽しみにしていなさい。」
ハロウィンの夜、攫う準備をしておこう。