第7章 出来損ないの魔女【ヴィル・シェーンハイト】
◆◆◆◆◆◆数刻後。
「…………んっ。あら?」
深い眠りから目覚めた私は何故かソファーに寝そべって、可愛らしい毛布がかけられていた。
「どこに居るのよ……。」
とりあえず起き上がってみたが、愛しい彼女の姿は見渡す限り何処にもない。
「………やだ、もうこんな時間なの!?」
時計が示していたのは深夜3時。
学生の私達の明日を考えれば今から夜更かしするには流石に宜しくない時間だ。
「……はぁ。」
それでも少しだけ…。せっかくグリムまで他寮に預けて2人きりで近くに居るのだからと彼女を探しに重い腰を上げた。
「……この子…私の事待ってたのね。」
「………んん〜。」
机に突っ伏して寝ていた彼女の手には滅多に飲まないブラックコーヒーが握られていた。
「こら、起きなさい。何やってるのよ。」
「んんー、ヴィルさん?」
「カフェインも夜更かしも、肌に悪いわよ?」
何時もなら本気で肌に悪いからと怒るところなのだが今日に限ってはうっかり口角が上がってしまう。