第7章 出来損ないの魔女【ヴィル・シェーンハイト】
「(………可愛いわね。)」
ソファーでお茶を嗜みながらカチャカチャと必死な顔で洗い物をする姿を見つめる。
「……はぁ。(……早く…終わらないかしら。)」
ティーカップを置いて、背もたれに寄りかかって天井を見上げる。自然に出たため息はココ最近の忙しさからくる疲れというやつなのだろう。
「……。(………汚い天井…。)」
早くあの小動物の様に必死な顔で家事をこなす彼女を抱きしめて癒されたい。
何かをこなしている時、茶々を入れられるのは自分も嫌いだからと待っているが正直待ち遠しい。
「(染み………数え切れないじゃない。)」
天井のシミを数えよう。何て、普段の自分では到底考えられない事を暇つぶしにしようにも、オンボロ寮の染みは多すぎて数えようにも数えきれない。
「(………早く…終わらないかしら。)」
そんな事を思いながら重たい瞼に耐えきれずソッと目を閉じれば直ぐに意識は何処へ飛んで行った。
「あ、あれ?ヴィルさん?」