第7章 出来損ないの魔女【ヴィル・シェーンハイト】
□出来損ないの魔女 (ヴィル・シェーンハイト)
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_____季節は秋口。
「…あんた少しは落ち着きなさいよ。」
「すいません、洗い物だけ先に…。」
ファッション業界では既に春先の撮影が始まり、芸能メディアからは年末年始の撮影に向けひっきり無しにお呼びがかかる。
「はぁ、まぁいいわ。サッサっと済ましちゃいなさい。(さっきは洗濯、今度は洗い物…次はそうねぇ…課題辺りかしら…。)」
「はい!!」
そんな時期、唐突に取れた貴重な休み。
急遽泊まりの約束まで取り付けて今日はゆっくり…なんて考えていたのに恋人はなぜかやたらと忙しない。
「(まあ、突然だったし。物事を先延ばしにするよりは評価の高い行いね。)」
先程からバタバタと動きまる彼女が、決めた事はキチンとこなしたがる性格なのはよく知っている。
自分もその手の人間なので、気持ちもわかるし先延ばしにするだらしのない人間より断然評価は高い。
「……全く、私を待たせるなんて凄い女ね。」
「ご、ごめんなさいっ!すぐ!すぐですから!」
だが、今日は久々に2人きりで会えたのだ。少々思うところはある。