第6章 幸せの記憶 【ジャミル・バイパー】
「あの………誕生日プレゼントを。」
「誕生日プレゼント?」
「……コレを渡したくて…。」
そう、この歪な鉱石を渡して祝いの言葉を送る為に私は今ここに来ているのだ。やっと本題に入り鉱石を差し出すと、ジャミル先輩はソレを受け取ってから楽しそうに歪な鉱石を観察し始めた。
「……なんだ。この錬成に失敗した石は。」
「…………う”。」
やっぱりそうとしか見えないか。と、少々落ち込みながら、私はコレを渡すのが今日になってしまった経緯をオドオドと説明した。
「くくっ、何だ。宴に来ていたのか。」
「…はい。でも…気後れしてしまって。」
本当は当日に渡したかったんだ。とその意志を伝えた私はあの日とはひと味違う歪な鉱石の説明をする事にした。
「けど、魔法をかけてもらいました!!」
「………………………魔法?」
あの日とはちょっと違うのだと胸を貼る私に、ジャミル先輩は片眉を上げた後、慌てた様子で顔を__グッと近づけてきた。