第4章 平凡な黒真珠 【ジェイド・リーチ】
「ジェイドォー!!コレ、壊れちゃったぁ!!」
「な、何をしてるんです!!
あぁっ、これを探すのにどれだけ苦労したと…。優しい私でも怒りますよ、いいえ怒ると言うより意気消沈です!」
「えぇー、けど学園長笑ってなぁい?」
「笑っていませんとも!!
全くもって笑ってなどおりませんよ、私はっ!!」
「はははっ!!学園長嬉しそうだな!!」
「カリム!くくっ、余計な事を言わないで良い。」
何故か皆、嬉しそうに笑っている。
ワイワイと騒ぎ出した中心には砕け散った特別な鏡。
ソレを、彼女は呆然と見つめている。
「…………え、嘘…。」
その顔を見て、僕は自然と口角を上げた。
「…壊れてしまった様ですね。どうします?」
「どうしますって……。」
もう帰路は絶たれた。
探せばまた見つかるかもしれないが、
今度は簡単にはいかないだろう。
「僕は貴方をあちらへ返す気が無くなってしまいました。………どうしましょうか?」
「………え、それは…どういう…。」
目を見開く顔が可愛らしいと思ったから、
もし次に帰る方法が見つかっても
壊してしまおうとそう決めた。