第4章 平凡な黒真珠 【ジェイド・リーチ】
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― そしてその日は突然やって来た。
「皆さん、ありがとうございました!!」
目に涙を浮かべながら、
しっかりと頭を下げる彼女は、
今日これから元の世界へと帰るらしい。
「…私、とっても…楽しかったです。」
まるで他人事の様に、コレは現実では無いかのように
僕はソレを傍観していた。
「ジェイドォ、良いの?…行っちゃうよぉ?」
聞き慣れたフロイドの声にやたらと苛立ちが募って、僕は 声を荒らげた。
「…良いも何もっ…それが道理ですっ!!」
「えぇ、そんなに怒んないでよぉ~。
変なジェイド。…ちょっとめんどくさいよ?」
それが道理。元あるべき所に帰るだけ。
それだけなのだから、良いも悪いもアリはしない。