第1章 色違い 【ジャミル・バイパー】
□色違い(ジャミル・バイパー)
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生きてきた環境が違うのだからすれ違いは仕方ない事だと、俺はそう思う。
「…子供を作りなくない、ですか。」
「あぁ、俺は死んでも御免だ。」
将来を考えた時に、俺と同じ境遇に子供がなるのだと思うと背が凍りつく様な心地になる。
「可愛ですけどね、子供。」
「……そういう話ではないんだ。」
多くを求めることはしない。だからいつか元の場所へ帰るコイツと人生の寄り道をするのは都合がいい。
「まぁ、未来なんてわかんないですよ。」
「ある程度の確定要素は予測できるだろう。」
性別も違えば、生き方も考え方も違うが、コイツの隣にいる時は自分の考えをねじ曲げる必要はない。思った通りに口にしてもなんの問題もないからだ。
「ほんっとに、ひねくれてますよね。」
「俺がひねくれていてもお前には害は無いだろ。」
そう、詰まるところいつか強制的にこの関係は終わるのだからソレが早いか遅いか。それだけの話であって、嫌わても何をしても問題がない。だから気楽なんだ。