第3章 偽物王子 【ラギー・ブッチ】
「…せっかくラギー先輩探しに来たのに。
…今日はもうチェスしたくないです。」
「え、毎晩チェスしてたんスか!?毎晩毎晩?」
予想外の言葉に俺が目を見開くと、
小動物もお返しだと言わんばかりに目を開いて焦ったように話し出した。
「え!?何だと思ってたんですか?
私チェスが強いから毎度相手させられてただけですよ?」
「俺てっきりアンタはレオナさんの女だと…。」
「な、無い無い!!相手にされる訳ないでしょう!!
え、皆勘違いしてるとか無いですよね?」
「いや、してますよ。どー考えても怪しいでしょ。
近くにいる俺でさえそう思ってたんスから。
(レオナさんは分かっててやってるし。)」
どうしよう。と頭を抱えているが、本当にこの女は阿呆だと思う。肉食獣の巣窟に何でこんな頭の弱い小動物が招き入れられたのか。コレでは直ぐに食われて、骨1つ残らない。そんな事を思うと、こちらの方がため息をつきたくなる。