第2章 仮面の裏側 【フロイド・リーチ】
「え、何?小エビちゃんは俺の事が好きなの?」
俺の問いに―コクリ。と頷いて下を向く。
「…そしたらもう、嫌いですか?」
俯きながらか細い声でそう呟かれた。
「私…ごめんなさい。…先輩が好きです。」
もう一度紡がれた好きに、顔が暑くなった。
「俺、…そういうのよくわかんねぇ…。」
小さな頭頂部に顔を埋めると良い香りがした。
「好きとかわかんねぇけど。もっと言ってよ。」
この顔の熱はどうやったら冷めるのだろうか。冷たい深海で育った俺はこんな暑さを知らない。ただ、もう一度聞きたいとそう思った。
「私…あの…フロイド先輩が好きです。」
どうしたら良いのか分からないけれど、このまま逃がすのはどうしても嫌で腕の中に閉じ込めてから何時もより少し強く抱きしめた。
「先輩…ちょっと苦しいですよ。あの…。」
「俺、小エビちゃん逃がしたくねぇ。」
「…え、あの。ソレはどういう…。」
多分そういう事なのだろうと理解した。俺はこの小さな海老を逃がしたくないほど好きなんだ。