第2章 仮面の裏側 【フロイド・リーチ】
「だから、あんな夢見たんだ。」
「え、あ。…その…さっきの…ですか?」
あの妙な女は詰まるところ、今腕の中で慌てている良い香りのする女で、見た目など関係なく、俺はこの人間が気に入っている。そういうことなんだろう。
「…結局皮が違うだけで、小エビちゃんだったし。俺が逃げらんねぇから逃がしてやんねぇ。」
「……?…ん?」
この熱とこのよく分からない感情はどうすれば落ち着くものなのだろうか。
「……あぁっ!!もうよくわかんねぇっ!!!」
「えっ!ちょっと、フロイド先輩!?」
頭がおかしくなりそうで、手をパッ。と離した俺はその場から逃げ出すように走り去った。
「…………なんだよコレ…。顔、あちぃ。」
ソレから数日間、俺は何故か彼女を抱きしめられなくなったってしまい、「フロイド先輩に嫌われた。」とあらぬ勘違いをした小エビちゃんが泣いて、ソレに異様なほど慌てた俺が食堂で唇を奪って逃亡するのはまた別の話。