第5章 勝負<過去
-1ヶ月後-
立体起動装置の基礎練習を合格した訓練兵は、次の訓練へ移った。
立体起動とスナップブレードを使い、訓練用巨人を倒すという訓練だ。
訓練用の森には、各場所に訓練用の巨人が設置してある。
うなじ部分が、厚い布で覆われている。
フーリは何でもそつなくこなす天才肌であった。
立体起動を体に装着している時だった。
「よお!フーリ!お前、暇?」
話しかけてきたのは、ジャン・キルシュタイン。
「暇というか、訓練するための準備中。」
フーリは、正直にさらっと答えた。
「じゃあ、暇ってことだな?」
なぜそうなる・・・
「俺から提案なんだが、ただ訓練用巨人を切ってもつまらないだろ?だから、俺と勝負しないか?」
ジャンは、正直者だ。
人間にしては面白いやつ。
「何で私?エレンとかいるだろ?あんたの大好きな。」
「はあ?!いつ俺があんな死に急ぎ野郎を好きっつった?」
おもしろい反応。
いつもつまらなそうにしているフーリだから、孤立気味なのだが、エレンやミカサ、アルミン、ジャンといった人たちはよくフーリに話しかけていた。
「フッ。ジャン、あんたって本当に面白い奴だ。つまらない世界にも、こんな面白い奴っているんだな。」
フーリは少し考える素振りをして
「いいよ。あんたの誘いに乗ってやる。もしも私に勝てたら、ミカサも少しはあんたの事を見直すんじゃない?」
と言ってやった。
「・・・。絶対勝つ!!」
ジャンは気合を入れるように、自分の頬をたたいた。
こいつ、どんだけミカサが好きなんだか。